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低周波空気振動被害に於ける医学的見解        8 Nov 2010
低周波空気振動被害者の会は、前身である低周波音症候群被害者の会の時代から、この被害の拡大は、加害者の虚言と、関係する者等の、本来担うべき責任を回避し、可能な対策を遷延することが主たる理由であることを社会に伝えてきた。
 
汐見文隆医師はこの被害を、低周波音症候群(外因性の自律神経失調症)と闡明され、会は疾患としての意見を得るため、400例を超える相談に応じて外因である空気振動を調査し、低周波空気振動曝露空間を把握して、150通以上の調査報告書を同医師に届け、汐見医師の見解に基づく、掛かり付け医師の診断書を得た多数の被害者を、地獄同然の窮地から救出してきた。

外因性の自律神経失調症はその典型例である動揺病(加速度病)を含め、医学辞典に立項されている医学的常識であり、低周波音症候群は化学物質過敏症や電磁波過敏症、感染症の代表とも言えるマラリア、その危険性が話題になったデング熱やエボラ出血熱などと同様に、死に至ることもある重篤な疾患であることに加え、不治の病であることも、同医師の40年に及ぶ長期調査に於いて明らかになっている。

汐見医師は、著書「左脳受容説」に於いて、低周波音症候群が、騒音として右脳で聞き流してきた低音域の空気振動を、左脳が受容することで看過できなくなってしまった〝脳の不可逆変化〟であることを示し、低周波音症候群を発症すると、決して元には戻らない〝不治の病〟と位置付けている。

また、救急患者への対応を例にとり、「急患(結果)が発生し医療機関に搬送されて、原因(病名)がよく分からない場合、医師はどうすべきか、分からないなりに少しでも原因を模索し、治療に当たることが、医師としての人道的使命であり、素早く対応しなければ患者は死んでしまう」、しかしながら、「感覚閾値(気導音)や参照値(気導音)が、被害実態(骨導音)にほとんど合致しないのに、これ[原因≠結果]を無視して、工学関係者は被害者を勝手に「気のせい」「神経質」などと詐称し、無理やりに[原因→結果]を押し付けて、原因が分からないから勝手に苦しみなさい、勝手に死になさいという対応をしてきた」と述べており、被害者が存在しているのは明らかなのだから、「工学関係者に対策させれば良い、エコキュートや巨大三枚翼風車はリコールすべきです」と2010年11月8日、環境省に於いて記者会見をされている。

言うまでもないことだが、現在の低周波空気振動曝露空間の出現について、医師に責任はない。医師の使命は「医療及び保健指導を掌ることによって公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする(医師法 第一条)」のであり、外因性の疾患は、その外因を取り除かなければ被害解消しないが、外因を駆逐する作業は医師の役目ではない。

火傷の原因が火災であるなら、医師は火災を起こさないように関係者に指示を出し、消防署や消防士に現実的対応を委ねるのであり、マラリア原虫やデング熱ウイルスを媒介する蚊を駆除するのは主に行政員や市民であって、医師が駆除作業に従事することがないように、低周波空気振動加害源に直接関与することは医師の責務ではない。

医師は、幹線道路や航空機、新幹線や給湯器、巨大風車や空調機器設備について、その振動や騒音を低減制御する立場にある筈がなく、振動源は事業者や施設管理者が対策すべきであって、国土交通省や環境省、そして社団法人日本騒音制御工学会や機械工学関係者の責務である。

曝露空間を離脱すれば症状は軽微になるが、再び暴露空間に入れば苦しさは復元し、給湯器や三枚翼巨大風車などの加害源は増加の一途であり、住宅建設に於いても重機の使用は日常化していて、被害者は何処へ行こうとも、一生低周波音症候群で苦しむことになり、被害回避のために右往左往する、これが低周波空気振動被害者の現実である。

しかしながら、汐見医師の見解は一行の記事にもならず、環境省の会見室を埋めたマスメディアの記者達は、低周波空気振動被害に於ける医学的見解を無視したのだ。

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