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公正取引委員会
委員長 竹島 一彦 様                                                平成24年3月22日

                               低周波音症候群被害者の会 代表 窪田 泰
非常告発書

 

粛啓

本件は、低周波空気振動被害者に対する、環境省、公害等調整委員会、読売新聞、日本消費者連盟など、複数の機関による、医師法違反、商品掲示法違反、著作権侵害、名誉棄損を伴う人権侵害を告発するものです。
加害音源は、クレーンやバックホウなどの建設用大型重機、コンプレッサーなど工場で使用される機器装置に加えて、自然冷媒ヒートポンプ給湯機(通称エコキュート)や現在主力の3枚翼大型風力発電機(風車)、業務用冷凍・冷蔵・空調機器、家庭用燃料電池コージェネレーションシステム(愛称エネファーム)など、低騒音やエコであると政府が推奨する機器が原因の低周波音被害が多発し、被害が否定され、被害者の人権が蹂躙されていることに抗議すると共に、被害解消の為、後述の理由により、日本国に対し次の「五箇条の対策」を火急の策として実施していただくよう求めます。


五箇条の対策
Ⅰ.内閣府に於いて「低周波音曝露対策推進会議」を開設すること
   低周波音被害ホットラインを常設して被害実態の掌握に務め、
   全省庁を挙げて被害の撲滅に取り組むこと
Ⅱ.「低周波音問題対応の手引書」を撤回すること
   G特性値、参照値、骨導音要素を考慮しない聴覚の感覚閾値などを含む
   非科学的な基準値紛いの数値を使用しないこと、〝音当て〟をさせないこと
Ⅲ.対策可能な低周波音加害源をリコールすること
   大型風車(開発済み)、エコキュート、エネファームを含め、熱電併給システム、業務用空調機器など低周波   音・騒音対策が可能な機器装置をリコールすること
Ⅳ.運転音の周波数特性を表示義務とすること
   未補正の音圧レベルで、例えばエコキュートの運転音「静音設計40dB」ではなく、             「25Hz40dB(増加音圧レベル15dB)」と表示すること
Ⅴ.被害者の一時避難先を提供すること
      災害被災者や火災避難者の緊急救済と同様に、睡眠できる空間を提供すること

 

                                                   
 

1.被害の態様と医師の意見
低周波音被害は、人工的な空気振動(周波数、音圧レベル共に変動が少なくて継続する機械音)の長期・長時間曝露が原因する、即ち慢性の外因性自律神経失調症=疾患であり、低周波音症候群がその主たる被害であって、騒音(やかましい)や振動(がたつく)とは、全く性質が異なっていて、地震や津波・雷など自然に発生する空気振動と共に、人工的なオトであっても、短期間や一過性、衝撃性、間欠性の音では低周波音症候群は来さないことが、汐見文隆医師の1970年代中頃からの長期調査によって闡明されていることを(資料1:2004年10月「低周波音問題対応の手引書」その虚偽と欠陥全国保険医団体連合会・公害環境対策部員)で示します。
同医師は、環境省に対する要望書(資料2:2003年10月22日「環境大臣 小池百合子様『低周波音公害に関する要望』全国保険医団体連合会」)の提出や、環境省での複数回の記者会見を通じて、自身の意見を世に問われており、当会が、同医師の指導に基づく被害調査を5年間続けた結果、同医師に届けた107例を(資料3:January 31 2012「加害周波数と加害音圧レベル」)で示します。


健康な人が勤務する労働環境(交感神経優位)での被害発生はなく、稀に非肉体労働者で被害が生ずるが、高齢者や病気療養者と共に、人々の心身を休め賦活させる住宅内(副交感神経優位)限定で生ずる被害であり、個人差が極めて顕著ですから、被害者が少数且つ散在して孤立することが常となり、原因たる物理現象を正確に把握できないまま、他者にとっては分かりにくい、現実感のない被害症状を繰り返し主張するならば、時に異常者扱いされてしまう被害です。当会が把握するだけでも、年に数人は自宅を捨てて転居せざるを得ないような深刻な被害であり、複数の自殺や自殺未遂が発生し、巨大風車周辺での高齢者の突然死が多発しています。
汐見医師は『左脳受容説』なる、騒音として聞き流していた空気振動=機械音を、或る時、左脳が感知し始めることに依って〝低周波音症候群〟を生ずる、との考えを示されていて、左脳受容が低周波音の長期・長時間曝露が脳機能の不可逆変化であると指摘されています。従って、一度、左脳受容が起きて(被害者になって)しまうと、低周波音曝露環境に入れば、必ず被害が生ずることになります。現実に、避難先を5~6か所探すことは普通にあり、中には20か所も探さねばならなかった被害者が複数います。


多様な不定愁訴が症状で、頭痛、耳鳴り、イライラ、睡眠時に音源駆動があれば不眠、これが大体共通しますが、左脳受容した結果、被害者の多くは「音が聞こえる」とも言い、中には、ウー、キー、ザーッ、クールクル、ドクドク、ヒュー、ピー、フニュフニュなどの〝聞こえ〟を訴えます。しかし、このようなオトは、被害者である私の耳にも聞こえたことがないので、これは〝耳鳴り〟と判断するほかありません。風車被害者にも〝やかましい〟と表現されることが多く、一時的かどうか、内耳が軽度の損傷を受けていることを窺わせ、〝聞こえ〟は原因ではなく、結果であることが分かります。


耳痛を訴える被害者も多く、特に職業音楽家の被害は、低周波音症候群被害者の中でも深刻で、現代のオト環境では耳閉塞や耳痛を回避できる空間は非常に少なくなっています。
同じ空気振動なる外因に依る被害であっても、巨大風車が起因で近傍に多数の被害者が生じれば、公害としての側面がありますから、これは環境省が受付窓口で構わないでしょう。しかし、低周波音症候群被害は、音源から空気振動が、唯一人の標的とされた被害者に照射された結果、ターゲットとされた一人だけが被害者となってしまいます。まるで〝銃で狙撃された〟が如く、暴力行為=犯罪として警察が所掌しなければ、駆動源がココにあるらしいと分かっていても踏み込むこともできず、結果として音源不明例として片付けられることになってしまいます。家族の間でも孤立したまま、被害に苦しみながら提訴し闘い続けることなど至難の技で、常人には不可能なことなのです。

 

2.低周波音計測が充分にできない理由
音源側は、行政窓口や公害等調整委員会の調査が入るとか、調査員が出入りしていると知れば機械を交換或いは停止する、稼働を減弱するとか、正確な低周波音を把握されないように音源工作という卑劣な測定妨害に出ることが多々あります。


計測を察知されると音源工作を受けるのであれば、勢い被害者自らが計測することになります。被害者は高齢で、しかも女性が多く、その時までの時間経過の中で、深刻な被害が発生していた当時の空気振動は無くなっていても被害は残ったまま、その時点での計測を余儀なくされた被害者は、フラフラになりながら、唯一の客観ともいうべき低周波音記録を得るように強いられます。


被害者である、私が現在の活動を始める契機となった、東日本旅客鉄道株式会社による音源記載の無い調査例(資料4)、公調委の調査の前後で、空気振動が様変わりしている神栖市の例(資料5)、音源停止をせずに稼働時との音圧レベル差が認められない趣旨で、且つ環境基準を満たしているとされた、和歌山県日高郡由良町の例(資料6)を示します。


当会は、現在も月に3~4件の被害相談を受けていますが、調査には結果が明らかになるまでに時間も掛かり、その後の相手方との交渉には更に時間や費用が生ずることを危惧し、調査に至らないことが多くあります。エコキュートなどの給湯器起因の被害でも、約20例の調査報告を得られた以外に、倍以上もの相談がありました。
いざ調査をしてみても明確な空気振動を記録できないことが、特に給湯器の例で多く、音源側に苦情して行政窓口に相談し、機器メーカー、ハウスメーカーと話が伝わっている間に、被害発症当時の空気振動が変質します。その音源対策で被害が消失するのであれば良しとしなければならない面もありますが、略全ての例で被害は残ったままです。

 

3.読売新聞の珍説、病気の専門家が工学士?
徒に時間が経過することの大きな理由の一つが、機器メーカーにしてもハウスメーカーにしても、多数の苦情を受けている事実があるにも拘わらず、当該の被害地では苦情者が一人ですから、どれだけ訴えも〝貴方だけよ〟とあしらわれること、二つ目に、頭痛や耳痛、不眠や頬が痛む、拍動や血圧が亢進する、苦しい、などと訴えているのに、音源側は医師に調査を求めることなく騒音や低周波音測定を行って、〝聞こえ〟のみを前提にした〝参照値〟や〝気導音に関する感覚閾値〟を基準値として被害を否定されるからです。和歌山県由良町で発生した、直近の実例でも、環境省の求めに応じた如く、一般財団法人日本気象協会は「環境基準値を下回っている」(資料7:2012年2月紀州新聞)と報告しています。


そもそも、音源である機器装置からの空気振動を問われているのだから、被害を与えるような空気振動を発生させていないのであれば、その空気振動を被害者が分かるように、例えば「発生周波数25Hz、音圧レベル40dB(内、背景音25dB)のように、開示すれば、時間を浪費することで被害者に更なる苦痛を与えなくて済む筈ですが、これまでに、被害者の求めに値する、当該機器装置由来の低周波音記録を開示して見せた、メーカーも加害者もありません。無論、加害音圧レベル15dBと表示されれば、被害者にとっては、より分かり易い表示になります。


しかしながら、被害が解消に至らない最大の理由は、病気である低周波音症候群被害は調査方法も診断方法も確立されているにも拘わらず、その事実が社会的認知を得られないよう妨害されているからです。音源駆動がなければ被害は生じません。医師の意見を封じ、被害者の活動を妨害した結果が、現在の低周波音曝露地獄を作りました。
当会は、原則として電磁波過敏症や化学物質過敏症の症状がある方の低周波音調査をしません。電磁波被害も化学物質被害も、低周波音被害同様に頭痛や耳鳴り症状に加え、脳みそが揺れると訴えられることがあり、低周波音被害との区別ができないことがあるからです。


ところが2011年9月の読売新聞「医療ルネサンス」欄に「増える環境過敏症」(資料8)として掲載された記事では、シリーズの中で、化学物質過敏症や電磁波過敏症の専門家は医師であると明記されているにも拘わらず、低周波空気振動による人の重篤な健康被害についての専門家が工学士であると記されています。殊更に〝超低周波音〟飽くまで〝風車限定〟のように表現していることは、〝超低周波音〟ではない低周波音は対策済みであるかのように誤認され、「環境」や「過敏」と表現されていることも被害の深刻さを伝えていません。
しかも、風車が大型化しローターの回転数を低下させた(騒音としての評価を低値に見せかける〝静音化〟と同じ)結果として被害を与える空気振動が生じている事実を無視して、構造上「風車の回転数を落とすこと」が、より低域に周波数が移動するだけに過ぎず、決して被害解消にはならないことなど、読売新聞には抗議(資料9)しています。
〝超低周波音〟とは、一般庶民には全く理解不能の言葉ですが、20Hzと20.1Hzの差についての工学的な意味がある筈もなく、20Hz以下でも大きい音は聞こえ、音量が小さければ聞こえないことは10Hzでも同じであって、重い健康被害についての判断材料とすべき事柄ではありませんし、如何にも難しいことを扱っているのだ、と音響コンサルタントを自称する商売人の手段として利用される以上の意味はありません。
例えば、超低周波音について騒音制御工学会低周波音分科会では「1/3オクターブで表現して,80Hz以下の周波数の音を低周波音と呼び,20Hz以下の音を特に超低周波音と呼んでいる。オーディオにおいて低音の迫力を感じるのは100Hz前後の周波数で,数十Hz程度になると,音の感覚が徐々に減り,圧迫感・振動感として感じられる。 20Hzを境にして急に音の感覚がなくなるのではなく,便宜的に20Hz以下を超低周波音と呼んでいる」(資料10)としています。

 

読売の記事「増える環境過敏症:超低周波音対策の遅れ」に続く「風車の超低周波音懸念」(資料11)に置いても、飽くまで、問題は「超低周波音」であって、低周波音はその対象とはなっていないと読めて、ここでは、汐見医師ではない別の医師の意見が取り上げられていて、被害者なら誰でも知っている、身体の中にある空気(鼻腔、内耳、肺胞、胃腸)が振動する事を説明しています。
 

4.工学関係者の社会的使命は〝低周波音の発生〟を無くすこと
昨年の大震災以降、原子力や地震に関連する工学関係者は、特に中心的役割を果たすべき立場の研究者が、押し並べて〝懺悔〟ともいうべき反省の弁を述べて来られたのは、自身の専門の分野に於ける安全を担保出来なかったことを理由にされてのことでした。

 

公営事業である横浜地下鉄や、一定の税収を確保したい安心院町に於ける鍍金工場、公共事業としてのJR中央線高架化工事などに因る、音源駆除交渉が簡単ではないケースの、医師によって疾患であることの証明無しには、交渉に臨めない被害者が多数いるにも拘わらず、読売新聞や日本消費者連盟が専門家扱いする成蹊大学の講師は、深刻な低周波音症候群被害の実態も、世界に誇るべきこの被害の専門家である汐見医師の社会的認知をも阻害し、その上に被害解消の立役者気取りで、愧心は全く認められません。
 

工学士が専門家だと言えば、騒音や振動被害と同列に扱える生活妨害程度のものであると受け止められてしまって、

その深刻さは伝わらず、三分間診療などと揶揄されて多忙を極める医師にとっても、原因が分かっていて音源から離遠すれば被害は解消するのだから、態々意見を述べることもなかろう、と愈々低周波音被害問題を真剣には捉えない方向に傾いても無理からぬことと言わざるを得ません。
 

被害は音源機器からの空気振動が原因していますが、干渉という波の特性を利用して、これら機器の振動を無くす技術が70年上前から確立されていることを、低周波音症候群被害者なら誰でも承知していますから、官僚や音響コンサルタントが不承知の筈はありませんし、経済産業省にも、対策済みの風車が存在する事、道路でも同様の対策が奏功していることを事実として伝え、「波の特性を活かして空気振動は制御できる」のでエコキュートや巨大3枚翼風力発電機は〝リコール〟すべきであると請求(資料12)してきました。
家庭用エコキュートは昨年夏迄に300万台を出荷(家庭用 自然冷媒ヒートポンプ給湯機"エコキュート"の累計出荷台数300万台突破について 2011年9月26日 電気事業連合会、社団法人日本冷凍空調工業会、財団法人ヒートポンプ・蓄熱センター)(資料13)していますが、これら低周波音について無対策の機器が、何故大量に出回ったのでしょうか、誰ならこれを阻止できたのでしょうか。少なくとも、医師や被害者に、その責任はありません。

 

日本だけでも60か所以上の風車被害地が作られ、多数の被害者が国家による拷問と言うべき〝人体実験〟の結果が得られているにも拘わらず、新たな被害者を作る危険性のある実験を求める成蹊大学の講師にとっての〝超低周波音実験〟とは、被害の本質とは無縁の消閑の楽に過ぎません。医師の診断に基づいた音源対策をしていれば、現在のような過酷な低周波音曝露環境は作らずに済みました。
 

手引書策定の検討委員長であった時田保夫氏は「現在のところ生理的影響に関する今までの調査では、短時間の曝露実験では明確ではないという結論になっているが、長期間の曝露でどのようになるかということは実験もないし、結論づけることは難しいというのが現状である。これを影響がはっきり現れるまで実験をしようと思うと、まさに人間の生体実験になってしまうので、影響があった場合の回復が明確でない実験はできない。」(資料14:低周波音問題の全体像)と指摘し、手引書策定の中心となった山田伸志氏は「研究室では短期的な心理反応・生理反応の研究が主である。長期的な生理影響の研究は実験室では出来ないので、現場調査を蓄積して統一的な現象を導き出すしかない。」(資料15:低周波音問題の現状と諸外国の動向)と述べていますが、このような先達の叡智を活かせない理由はありません。
 

東日本旅客鉄道株式会社に限らず、低周波音被害者が音源側に苦情すると、「診断書を持って来い」と凄まれることが普通であって、「工学士」を呼んで来い、などと言われたことも、言われる筈もありません。低周波音被害の診断書が得られにくいことを承知だからこその対応ですが、低周波音被害者が工学士を専門家と処遇したことは、これまでに例がなく、未来永劫、決してあり得ないことです。
それは自己の被害について医師の意見が必要な程の深刻さが無いこと、即ち病気=低周波音症候群では無いことを自ら宣言することに他ならないからです。

 

5.環境省は〝疲馬〟である
環境省は低周波音加害源を駆逐したことも、使用制限しようとしたことも、低周波音被害に関する医学的見解を求めた事実も無く、経済産業省や国土交通省の言いなりに、工学士を利用して、非科学的な実験をさせて参照値やG特性値など基準値紛いの数値を策定して加害源を増殖させ、公害等調整委員会は参照値以下だから被害は無い、参照値を超えても短時間だから被害を認めないと、被害者を放擲してきました。
私は、2010年11月迄に、参議院議員会館での院内集会と4度の記者会見をし、低周波音被害が疾患であることを伝え、低周波音症候群被害事例研究会リーフ(資料16)に示すように被害のあることを〝苦情〟としか対応しない国家に抗議し続けていますが、加害者は、低周波音症候群被害者に対して、どれ程傍若無人な振舞いをしても、どれ程嘘をついても騙しても構わない風潮が醸成されていて、低周波音症候群被害者の真実の声は、国家にもマスメディアにも掬されることがありません。

 

既に環境省は、巨大3枚翼風力発電機による被害を、その他の低周波音被害とを区別し、風車被害にはこれまでの参照値を適用せず現在実験中の新しい第2参照値とも言うべき基準値を制定してこの被害を救う方向に動いていて、風車被害とこれまでの低周波音症候群被害を切り分けて、低周波音症候群被害に対しては、非科学的な参照値をこれまで通り適用し、被害を否定する方針が開示(資料17)されています。
 

その表面上の理由は、2004年環境省発表の参照値は、固定的音源に起因する低周波音被害に適用するのだから、風車が発する低周波音は変動するので固定的音源とは言えず非適用とする、との考えです。
しかし、工事用重機が自走して位置を変え作業内容を変化させながら発生する低周波音に依る被害も、音源が同一の建屋に無い場合も含め、外気を経て伝搬する空気振動は、常に風況(風向・風速)によって変動する事実を、風車被害にのみ認め、その他の低周波音症候群被害には認めないという、理不尽なことが現実になっています。
また、風力発電全国情報ネットワークの主たる活動メンバーである、熱川風車被害者の会が、2010年12月9日に開催された「第3回 風力発電施設に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討会」に於いて「風車被害に限定して、参照値を適用しない旨通知するよう、これまでの低周波音症候群被害者が救済から取り残さるように」との身勝手な言い分(資料18)を受けて、それが結果として認められたと判断せざるを得ない状況でもあります。

 

6.朝日記事~給湯器トラブル
この記事(資料19)では、三人のエコキュート被害者が病気であることを医師が認めていて、社団法人日本騒音制御工学会は、〝移動すれば被害はなくなる〟と音源近傍では被害があり、離遠すれば被害がなくなるのだから因果関係は明白である、と汐見医師と同じ意見を述べる一方、環境省は「頭痛や自律神経失調症などの症状との因果関係は医学的に明確ではない」、メーカーは「健康被害との因果関係は科学的に証明されていないはずだ」と臆面なく子供の言い訳同然の回答をしていて、慄然とさせられてしまいます。

 

一仕事を終え、疲れて心身を休めたい時、人は「静かな所でゆっくり寝たい」と言います。決して「工場のコンプレッサーの傍で眠りたい」とは言いません。しかし、低周波音症候群被害者は、工場で低周波音を吐き続けるコンプレッサーを枕にしても、環境省はその被害は認めません。G特性値の参照値は92dBで、典型的な低周波音加害源であるコンプレッサーのG特性音圧レベルは、環境省請負業務結果報告書に「機器から5m程度以内で、高値でも80dB程度」の実測値が記載されています。エコキュートは200気圧にもなる、コンプレッサーを使用しています。
 

彼らが口にする常套句〝医学的・科学的因果関係〟とは何のことかと明示されたことは未だ無いし、当会が把握しているエコキュート被害例は、2004年03月東京都文京区、2004年06月福島県伊達郡、2006年02月神奈川県鎌倉市から始まっていますから、既に9年を経過しています。
昭和五十二年十一月一日(1977年)の国会議事録「82-衆-公害対策並びに環境保全…-6号」(資料20)には、川本敏美衆議院議員の発言記録が、奈良県香芝町の西名阪高速道路起因の低周波音被害について「低周波公害について自費で取り組んでいる汐見先生を故意に除外をして調査委員会をつくっておるというのは、私はどうも納得できない」、「まず健康診断をやる、医学的な手当てもする、そして補償もする。こんなものは、何もお医者さんの薬を飲まなくても、発生源から離せばいいのですからね。一時どこかへ隔離するというか、発生源との距離を遠くしてやったら、こんなものは健康がもとへ戻るわけです。そうでなければ、諸機関と協力してその発生の原因を調べる間高速道路の通行を中止したらいい。」と記されています。被害対策の原則が率直に述べられると共に、当時の環境庁が低周波音被害の権威である汐見医師を、如何に処遇したかが述べられています。


その33年後、先に示した検討会(資料18)の配付資料や議事録では、「汐見医師は、平成20年3月に平成21年4月の低周波音記録によって診断したとの主張」が掲示されています。当日は、労働安全衛生総合研究所の職員が「産業職場で発生するような高音圧レベル以外では聴力障害は生じない」「聴覚閾値を超える音圧レベルや複合音(多くの周波数成分を含む音)の危険性」と、汐見医師とは正反対の意見を述べました。


尚、この検討会では、当会作成のスライドや資料が無断で使用され、しかも内容を改竄されたまま、当会の主張とは異なる目的で使用されていることについて、内閣総理大臣菅直人様宛(資料21)(資料22)、上記検討会座長浅野直人様宛(資料23)、夫々抗議し、法務省にも相談(資料24)しています。警視庁立川警察署にも相談(資料25)し、環境省伊藤審議官らの行為は、当会の主張通りの事実であると報告を受けています。
記事にある、東京大学の環境問題に詳しいという准教授は、この深刻な人的被害の専門家が医師ではなく、工学士であるとの修士論文を指導(資料26)しています。国民の税金を使用して、被害者の求めを全く裏切る支離滅裂な利己的な行為によって、被害者の真っ当な活動を妨害する行為を許すことはできません。これまで、風車被害の発生前に、どれだけ多くの工場が原因の、そして建設用重機が起因の低周波音被害があったのか周知されていないだけです。これまでの被害事実と低周波音症候群という医師の意見が得られることが周知されないが故に、エコキュートや巨大風車被害など今の惨禍に繋がりました。このような事実無根の修士論文は査読の対象にすべきではありません。
また、特定非営利活動法人日本消費者連盟は多数の者を集めて、これを低周波音症候群被害者であるかの如く偽装し、工学士がこの被害の専門家だとする勉強会や院内集会(資料27)を継続してきました。この連盟の第3条の目的には、「社会的、法律的に差別されず、人間が人間らしく生きるための、自由で平等な社会の実現に寄与する」と記載されていますが、前記修士論文の作成に寄与したのみならず、医師の意見を得て症例を集積し、低周波音症候群が疾患であることの社会的認知を獲得しようとする当会の活動を妨害し、読売新聞に見られるような、病気の専門家が医師ではない、と民主社会の拠を著しく毀損し蹙かめることに、大きく寄与しています。無論、抗議(資料28)をしていますが、このような非常識な団体の特定非営利活動法人の指定は、直ちに取り消すべきです。

 

7.低周波音症候群被害者が求める専門家は医師である
公営事業である横浜地下鉄や、一定の税収を確保したい安心院町に於ける鍍金工場、公共事業としてのJR中央線高架化工事などに因る、音源駆除交渉が簡単ではないケースの、医師によって疾患であることの証明無しには、交渉に臨めない被害者が多数います。
原田正純医師は水俣病の権威であり、萩野昇医師はイタイイタイ病の専門家であることを、世界中の人々が誰一人として疑わないように、被害から救われた者も、被害解消を求めている者も、国家の下策に拠って今後新たに被害者にさせられてしまう者も、全ての低周波音症候群被害者は汐見文隆医師が低周波音被害の泰斗であることを疑いません。

 

医師が人的健康被害の専門家であることは、対策が可能か否かには無関係であり、電磁波被害や化学物質被害の専門家が医師であって、低周波音被害についてのみ医師を専門家としないのでは、医学も科学も倫理についても、現代社会の礎となる規範を認めないということに外ならず、「病気の専門家が医師でなく工学士」だとは、前代未聞かつ空前絶後の反社会的行為=医師法違反です。自己の被害について医師の意見が必要な程の深刻さが無いのであれば、即ち病気=低周波音症候群では無いことを自ら宣言することです。
 

自己の被害を解消する為に低周波音症候群被害者は、医師と警察官を求めています。加害者を専門家扱いせよとは、他国にせびった食物を与えられ、ひと時の空腹感を紛らわせた民に、自らを飢餓状態に陥れた当人に感謝の意を示せと強要することに等しく、狂気の沙汰以外の何ものでもありません。医師が低周波音被害を証明すれば、警察官が工学士を使って音源を探してくれます。
 

環境省は、何故、低周波音被害が猖獗したかを考えず、低周波音源を無くせば低周波音害を回避できることすら判断不能となって、自分達が犯罪者として訴追されることを免れる故に時間を浪費する〝疲馬〟となっています。環境省には低周波音被害問題を所掌する意志も能力も無いことが明白となった今、内閣府に〝低周波音曝露問題対策会議〟を設け、その所掌を環境省から移管し、全省庁を挙げて対策する以外には、この被害の解決の道は開かれません。
二〇〇七年、当時の安倍音三首相が辞任するときの理由としてあげられた、「機能性胃腸障害」或いは「機能性ディスペプシア(FD=functional dyspepsia)」と診断される疾患は、「胃が痛いのだが、内視鏡などで所見がない」、つまりは「原因のわからない胃の痛み」ということについて、内視鏡専門医で心療内科医でもある梅谷薫医師は、「強い痛みを訴えていても、癌や内視鏡検査の経験で潰瘍が見つかる比率は二割に満たない程度」で、原因の一つに「言葉」が重要だと述べておられます。

 

このように、言葉が原因の疾患でさえ認められているにも拘わらず、同じ空気振動である機械音が原因していることが明白であり、かつ音源も分かっている低周波空気振動被害が疾患として認められない理由は、被害者が居れば加害者が居ることだからですが、無対策の機器装置が大量流通して被害が拡大する責任は全て国家にあります。現在も新たな低周波音被害者が生まれ続け時が経過する間、被害者は苦しみ続けています。
 

手引書を撤回するだけでも、事業者は参照値やG特性値を基準に被害否定をすることができなくなり、公害等調整委員会は、所謂〝音当て〟なる拷問をする理由が消失します。音圧レベル補正をせずに「基本周波数25Hz、運転音40dB(内機械音15dB)」との掲示をすれば、一般消費者はその危険性を認識しますから、被害解消交渉が進捗すると同時に、音源対策は一気に加速し、新たな被害者を生まずに済みます。
 

足尾銅山鉱毒事件を告発した田中正造翁は、明治三十三年二月十七日、衆議院に於いて次のように演説をしています。
 

民を殺すは國家を殺すなり。
法を蔑にするは國家を蔑にするなり。
皆自ら國を毀つなり。
財用を濫り民を殺し法を亂して而して亡びざる國なし。之を奈何。

 

根本的な事柄は明白になっている低周波音被害問題は、人工音が原因の〝刑事犯罪〟であり、環境問題ではなく、〝環境省問題〟であることを認識していただいて、冒頭の「五箇条の対策」を喫緊の課題として実施してくださるよう祈望いたします。
 

資料1:2004年10月「低周波音問題対応の手引書」その虚偽と欠陥全国保険医団体連合会・公害環境対策部員
資料2:2003年10月22日「環境大臣 小池百合子様『低周波音公害に関する要望』全国保険医団体連合会」
資料3:January 31 2012「加害周波数と加害音圧レベル」
資料4:東日本旅客鉄道株式会社による音源記載の無い調査例
資料5:公調委の調査の前後で、空気振動が様変わりしている神栖市の例
資料6:和歌山県日高郡由良町の例
資料7:一般財団法人日本気象協会は「環境基準値を下回っている」2012年2月紀州新聞
資料8:2011年9月の読売新聞「医療ルネサンス」欄に「増える環境過敏症」
資料9:読売新聞には抗議
資料10:騒音制御工学会低周波音分科会、便宜的に20Hz以下を超低周波音と呼んでいる」
資料11:「風車の超低周波音懸念」
資料12:リコール〟すべきであると請求
資料13:家庭用 自然冷媒ヒートポンプ給湯機"エコキュート"の累計出荷台数300万台突破について 2011年9月26日

資料14:低周波音問題の全体像
資料15:低周波音問題の現状と諸外国の動向
資料16:低周波音症候群被害事例研究会リーフ
資料17:参照値をこれまで通り適用し、被害を否定する方針が開示
資料18:「風車被害に限定して、参照値を適用しない旨通知するよう、これまでの低周波音症候群被害者が救済から取り残さるように」との身勝手な言い分
資料19:2011年11月17日朝日記事~給湯器トラブル
資料20:昭和五十二年十一月一日(1977年)の国会議事録「82-衆-公害対策並びに環境保全…-6号」
資料21:内閣総理大臣菅直人様宛
資料22:内閣総理大臣菅直人様宛
資料23:上記検討会座長浅野直人様宛
資料24:法務省にも相談
資料25:警視庁立川警察署にも相談
資料26:工学士であるとの修士論文を指導
資料27:特定非営利活動法人日本消費者連盟は多数の者を集めて、これを低周波音症候群被害者であるかの如く偽装し、工学士がこの被害の専門家だとする勉強会や院内集会
資料28:抗議

 

                                                  謹言

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