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風力発電をアセスの対象にした松井利仁氏


長周新聞には北海道や札幌市の環境影響評価審議会委員も務めたという松井利仁氏が、風車騒音が危険だとする講演が記されている。
「風車騒音による健康影響と石狩湾新港周辺三事業の影響評価」が地元で大きな反響を呼んでいることも記されていて、専門家の見地から低周波音の人体への影響をとらえたもの」らしい。
武器か兵器かという代物である巨大風車について、汐見文隆医師は著作や環境省での記者会見で、繰り返し〝リコール〟すべきだと意見されてきたが、巨大風車がそんなに危険なら、アセスの対象になんぞせずに、松井氏も建設停止を主張したら良いと思うのだが。


環境ジャーナリスト・かとうやすこ氏「週刊金曜日2016.3.11(1079号)」によると、風力発電が環境影響評価法に組み込まれることとなった「風力発電施設に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討会」に於いて、松井氏が「睡眠障害等の健康影響も含めた影響が生じるリスクが極めて高い」と指摘したという。

しかし議事録を見ると「松井検討員 規模要件に関して、資料2-3で、苦情件数に関して再整理されておられるんですけれども、苦情という言葉が気になっております。風力発電所に対する苦情というのは、多くが睡眠妨害なんですね。睡眠妨害というと、生活妨害、生活環境影響というようにもとられかねないですが、医学的に見れば、環境要因による睡眠障害、病気です。ですから、そういう点では、これは健康影響であるという視点から苦情ということを見ないといけないのではないかと思います。ですから、規模要件を決めるときの重要度というのがそれぞれあろうかと思うんですけれども、騒音の苦情件数というのは、単なる生活妨害ではなくて、健康影響であるという意識を持っておくべきではなかろうかと考えております」となっていて、風車の主な被害を睡眠障害と捉えている。

音響外傷や急性ストレス反応を惹起する低周波音の〝卓越〟については全く触れることなく、騒音の延長線上に低周波音を位置付けて、低周波音の総量での考えを主張しているのだが、議論にはなっておらず、単にそのようなこともあると発言しただけだ。

その意味でかとうやす子氏の表現は正しいのだが、風車の近傍では人柱同然の突然死が今も続いている。当人もその家族も人柱との意識はないままに、武田恵世氏が代表である風力発電全国情報ネットワークの川澄透氏、環境活動家の岡田健氏、武田恵世氏等は松井利仁氏と共に再生エネルギー賛成を唱えて風力発電を推進する。

風力発電は一基が危険なのであって規模要件は無用の条件だ。にも拘らず「風力発電施設に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討会」は一基でも苦情があることの認識はあるものの、その危険性を論じていない。「アセスはアワスメントで意味が無い」と言っていた汐見医師達の嘆きが聞こえてくる。

しかも松井利仁氏は橘秀樹氏(千葉工業大学附属総合研究所 教授)を悪の権化の如く批判しているが、全くのお門違いであって、風力発電被害は風車をアセスの対象にしてくれと運動した川澄氏や松井氏の意見を基に、アセスの対象( 第1種事業:1万kW以上 第2種事業:7,500kW以上)となってその建設が推進された歴史だ。

長周新聞によれば彼は低周波音被害の救世主の如き扱いになっているが、人柱とされた被害者にとってはニックキ加害者の代表だろう。

松井氏は、低周波音による「公害病」は発症機序を三つに分類できるという。
①.環境性睡眠障害は低周波音が聞こえることによって「小さい音」でも気になって眠れないというのだが、枕に頭を付けた時、振動を感じて眠れなくなるのであって、聞こえる音での影響は無い。

②.前庭への刺激が、〝いわゆる〟風車病か否かはともかく、その症状は一般的にも医学的にも認められた「動揺病」の症状を起こす。
③.上半規管裂隙症候群(SCDS)という障害者は有病率1~5%、低周波音、超低周波音の感受性が極めて高いとも記述があり、低周波音被害者を先天的病者扱いしているが、上半規管裂隙症候群は先天性疾患であり、普通の人が空気振動に依って被害者となるのだ。
 
そもそも低周波音被害は急性ストレス障害(fight-or-flight response)に依ってイライラする被害であり、低周波音の打擲に依る、云わば『火事場の馬鹿力』はヒトを興奮状態にする。もう一つの音響外傷は、例えばそのひとつであるスマホ難聴は、ロック難聴やウォークマン難聴同様に大音量の音楽鑑賞が原因とされている。無論、強力な打撃である低周波音は【鼻出血】【耳閉塞】や【口内出血】を生起する。

 

因に、動揺病(乗り物酔い)は「しばしば漠然とした腹部不快感を伴う悪心,嘔吐,めまい,蒼白,発汗,および関連症状を通常は含む症候群である。 特定の運動形態,特に角加速度および直線加速度の反復的な増減によって,または前庭,視覚器,および固有受容器からの入力が矛盾した結果,引き起こされる」とされている。(Wikipedia)

汐見医師の〝2009年8月10日意見書「風力発電機による住民被害を追って」〟には次の記載がある。
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医療の世界で新しい薬を開発された場合には、その効果もさりながら、副作用が厳重に追求されます。人を助けるはずが、かえって苦しめることになってはならないからです。
それが理工学の世界ではどうなっているのでしょうか。事故が多発した場合にリコールという制度がありますが、では風力発電機はリコールの対象にはならないのでしょうか。
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と、汐見医師は薬害を例に風力発電機のリコールを求めている。
 この意見書は「2009年10月16日、17日、足利工業大学総合研究センターの主催による「第10回 風力エネルギー利用総合セミナー」が開催され、その講義テキストとしても利用されている。汐見医師の講義を退屈そうに聞いていた松井氏には、日弁連同様全く自国の医師の意見に関心がない。他国の医師については「風車騒音と風車病・睡眠障害との因果関係について。風車病(風車症候群)と名前をつけたのは米国の研究者ニーナ・ピアポントだ」と紹介するのだが。

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